研究紹介

本研究室では、面白いと思った研究テーマには積極的に取り組むようにしていますが、主な研究分野は次のとおりです。

思い出工学分野
思い出アルバム災害発生後に被害にあった写真や思い出の品を回収し、修復して返還する活動を知っていますか?日常生活では意識されにくいものの、思い出は人にとって極めて重要な役割を果たします。思い出の想起は、自己理解を深めるだけでなく、他者との相互交流を促します。しかし、思い出は個人の主観的体験に基づく記憶であるため、カメラやセンサなどで直接的に記録することは困難です。そこで本研究室では、人が想起する思い出を情報として取得・管理し、人の生活を豊かにする手段として活用することを目指した研究を行っています。

  • 思い出想起支援システム
    • 回想法アプローチによる対話ロボット設計
    • 日常の生活行動の中で想起を促すための日用品との対話デザイン
  • 思い出共有によるコミュニケーション支援システム
  • 思い出情報を利用した人の活動、行動支援
  • 思い出情報の収集,継承システム

日常的に記憶の想起を促すことで高齢者の認知機能を維持、または改善させることを目的とした情報システムによる支援環境の構築にも取り組んでおり、本研究は立命館大学R-giroプロジェクトに採択されています。
 

コミュニケーション支援分野
ロボット人の精神的健康を良好に保つためには、他者との社会的なつながりがとても大切です。日常生活において、私たちは対面での会話やSNSなどのオンライン上で他者とコミュニケーションを行っています。しかし、思いがうまく伝わらない、何を話してよいかわからない、相手の意図や状態が把握しにくいといった、コミュニケーションの難しさを感じることも少なくありません。本研究室では、他者との円滑かつ心地よいコミュニケーションを促進するための仕組みを、情報システムのインタフェースの視点から提案しています。

  • 話しやすい対面コミュニケーションの支援
  • 非言語情報が伝わるオンラインコミュニケーションシステムの設計
  • ロボットとのコミュニケーション支援
  • 他者とのつながり形成による精神的健康支援

 

防災分野
避難自然災害の多い日本では、災害対策に関する取り組みが積極的に進められています。しかし、災害発生時において迅速に避難行動を取る人の割合は以前として低い傾向にあります。さらに、災害時には、日本語を十分に理解していない外国人観光客や、一時的に滞在する訪問者、通勤・通学者、また高齢者や子どもなど、多様な人を想定した対策の必要性も高まっています。本研究室では、こうした多様なユーザ層を考慮し、災害に対する当事者意識を高め、適切な避難行動を支援するインタフェース設計に取り組んでいます。

  • 避難行動支援システム
    • 無言語化による避難行動支援システムのユニバーサルデザイン化
    • 当事者意識を高める情報提示
  • 災害状況共有システム
    • 多様なユーザを想定した被害状況・避難状況の共有システム
    • ユーザの適応的な行動を促す情報提示

 

観光分野
観光支援システム観光において、人はどのような経験や体験を求めるのでしょうか。既存の多くのシステムは、観光行動の”効率化”を主な目的として設計されていますが、観光において効率性のみが重要視されるべきでしょうか。本研究室では、観光体験を「楽しさ」や「主体性」という視点から捉えなおし、多様な観光行動を促し、新しい発見を提供することを目指した観光支援システムの研究に取り組んでいます。

  • 多様な観光行動を促すナビゲーションシステム
  • 「発見」する経験を与える情報提示
  • このとき、この場所でしかアクセスできない情報共有

システムのデザインに“不便益”のデザイン手法を取り入れ、不便益システム研究所の活動にも参加しています。
 

運転支援分野
ドライブ自動車の制御に関する技術は高度化し技術の精度に目を向けられることが多いですが、自動車は人を乗せる乗り物であり人との関わりは必要不可欠です。本研究室ではドライバーが安心して運転できる環境や、安全運転を促す仕掛けに関する研究に取り組んでいます。

  • 安心して運転できる支援エージェントの設計
  • 走行速度を抑えるための仕掛け
  • 車内でのコミュニケーション促進
  • 歩行者や自転車,他車とのコミュニケーション

 

分散アルゴリズム設計
ネットワーク複数の計算機がネットワークで接続されたシステムを分散システムといいます。目的のタスクを効率よく遂行するために複数の計算機を協調動作させる手法が分散アルゴリズムです。泉は、ネットワーク中を計算主体が移動する分散システムを対象とした分散アルゴリズム設計も行っています。主に次のテーマの研究を行っています。

  • モバイルエージェントを対象としたアルゴリズム設計
  • 平面上を移動するロボットを対象としたアルゴリズム設計